永年の使用により時々誤作動を起こす愛用のオリンパスペンと、カメラよりはるかに永く使用されているため動きも鈍く常に誤作動を起こしている作者とのコラボによる作為と偶然による作品です。このカメラと共に、慣れた下町を離れて肌合いの少し違う東京の街を小さく簡単ですが、とても見やすいファインダーで見ている時、被写体の周囲や背後で何かが動いたように感じた時シャッターを切っていたような気がします。その時に写し出された影像はその瞬間に私にとっての不完全な過去として記録された記憶として積み重なっていくようです。そのような写真を趣味とし始めてから半世紀を過ぎ、自分も高貴高齢者(字を間違えたかな・・・)となっても日常のカメラ片手の路地裏散歩をワクワクさせてくれる自分と写真の関係がとても好きです。またそれを支えてくれる良き指導者、先輩、友人、家族に感謝している毎日です。 (カラー約50点)
作者略歴
1936年6月5日 東京東上野生まれ 1978年 写真展 「茜雲」 新宿ニコンサロン 1987年 写真展 「鈍色の町」 新宿ニコンサロン 1994年 写真展 「街の風」 コニカプラザ 1995年 写真展 「天鵞織の街」 平永町橋ギャラリー 1998年 写真集 「問わず語り」(東京散歩)出版