酷暑が続いていますね。シリウススタッフの自宅で育てているプチトマトは実のつき方が悪く、これも暑さのせいかなぁと頭を悩ませています。
同じように家庭菜園をしている方、頑張りましょう!
さて、現在以下の写真展が開催中です。
<プロキオン・フォース>由地 まさる 写真展「太陽の島」
期間:2026年7月23日(木)~7月29日(水)

アイデムフォトギャラリー「シリウス」では、創作意欲あふれる若手写真家(39歳以下を対象)に作品発表の場として当ギャラリーの写真展枠などを提供する支援プロジェクト「プロキオン・フォース」を開催しています。
今回展示しているのは北海道で作品作りをしている由地まさるさん。自身で実験的な写真作品作りをされている写真作家です。
写真展の舞台は、日本からそれほど遠くない赤道近くの島。由地さんが訪れたこの町の穏やかでゆったりとした時間をモノクロ写真で写し撮った作品が並んでいます。

旅先ではなぜか、普段なら見過ごしてしまうものが美しく見えます。
路地の片隅に落ちる光。 ぼんやりと佇む犬。 風に揺れる木々の影。 遠くから聞こえるニワトリの鳴き声。由地さんはそんな何気ない瞬間を「小さな魔法」と表現しています。
展示ステートメントを読んでいて印象的だったのは、彼が写真を撮る行為を「美しい瞬間をフィルムに閉じ込めて持ち帰ること」と語っている点です。
デジタル全盛の時代だからこそ、フィルムで持ち帰り、暗室で画を浮かび上がらせる工程に強い説得力があります。写真が単なる記録ではなく、旅の記憶を錬成する行為そのものになっているのです。

さらに本展の見どころとなるのが、作品制作そのものです。
由地さんは銀塩写真もセピア調になっており、フィルムの現像からプリント、調色まで全て自身で行っているそう。また会場の壁面の一部には由地さんの独自技法「アルケミカルアメーバ」という作品が。「アルケミカルアメーバ」は、銀塩写真の化学プロセスを追求しながら錬金術的な発想を取り入れた独自表現とのこと。
自然の顔料で着色した紙にゼラチン液をたらし、その上から露光機でネガを露光する。そうすると↓のようなイメージが出来上がる。制作過程を聞いていると気が遠くなるほど様々な工程を経て作られていて驚きました。しかし由地さんは「作るのが好きだから全然苦じゃありません。」と仰っていて、作品1点1点への愛情を感じました。アメーバの回りの白いフワフワっとしたイメージは現在住んでいる北海道の雪をイメージしているんだとか。
写真でありながら、どこか実験であり、魔術の儀式のようでもある。作品そのものだけでなく、「写真はどのように生まれるのか」という制作過程への探究も楽しめる展示になりそうです。

「太陽の島」は、美しい風景を並べた旅行写真展ではありません。旅先でしか出会えない光や音、風、人の優しさを、フィルムと銀の化学反応の中に宿そうとした展示です。
名前も知らない犬、 役目を終えたレール、 静かに差し込む光。そんなささやかな存在たちが、まるでこちらに向かって手を挙げているように見えてくるかもしれません。
写真が好きな方はもちろん、旅が好きな方、フィルム写真に魅力を感じる方、そして日常の中の小さな美しさを探したい方にぜひおすすめしたい写真展です。

会場奥にはポートフォリオやプリントが置かれています。
販売物もありますので、ぜひこちらもお手に取ってゆっくりご覧ください。
皆さまのご来館お待ちしております。




