シリウスブログをご覧の皆様、こんにちは!
アイデムフォトギャラリー「シリウス」では、
本日より新たな写真展がスタートしました。
松村 明 写真展「ありふれた長崎」~痕跡の街~
期間:2月10日(木)~2月16日(水)
1945年(昭和20年)8月9日 午前11時2分 に
長崎に原爆が投下されてから、今年で66年が経ちます。
今では坂本龍馬ブームの影響等もあり、観光地としてのイメージが強くなった長崎。
時代の変化とともに街並みも変わりました。
しかし、いまや一見どこにでもある街のようでありながら、、、
他の街と同じように人々が毎日生活をする場所でありながら、、、
街の各所には当時の痕跡が残っています。
松村氏が目を向けたのは、
そんな長崎の“ありふれた日常”の中に今でも確かに存在する被爆の傷跡。
今回の写真展開催にともない、お話を伺いました。
松村 明氏、作品とともに(H23.2.10 シリウスにて)。
展示風景。
★長崎を撮影しはじめたきっかけ
奥様が長崎のご出身で被爆2世でもあること、
そのために長崎を訪れる機会が多いこと、
新聞社のカメラマンとして報道を仕事とされていたこと、から
被爆地である長崎を「しっかり捉えたい」と考えるようになり、
10年以上前に撮影をはじめたそうです。
最初は主に遺構を撮影していたそうですが、
次第に被爆者の方々にもレンズを向けるようになったとのこと。
65年以上たった今でも治療を必要としている方も多く、
皆さんと向き合うには相当の覚悟が必要だった、とおっしゃっていました。
※なお、主に人物を中心とした写真展「ありふれた長崎」~奇跡の人たち~を、
当ギャラリー近くのギャラリー蒼穹舎さんで同時開催されています。
また、これらをまとめた写真集「ありふれた長崎 あの日から65年」も昨年8月9日に出版されました。
★作品に込めた想い
撮影をするにあたり松村さんがこだわったのは、
あえて「今」の時代の中での痕跡を捉えることだったそうです。
当時を知る人も少なくなってきている昨今。
8月9日には行事や報道等で思い出す人も多いが、
他の日はほとんど忘れられている。
しかし、多くの被爆者がいまだに当時の傷に苦しんでいるように、
「今」も傷が存在していることを伝えたい。
世の中の記憶が風化しはじめている現在でも確かに残る傷跡を記録することで、
「今」の記憶にしたい。
そんな想いからだとのことでした。
原爆投下時刻に黙とうをする人…
診察中に被爆した医大生の白衣…
爆風で散らされた墓石がそのまま保存されている墓地…
65年以上も野ざらしにされたままの被爆瓦…
写し出された人々や痕跡の数々からは、66年前に長崎が経験した痛みが伝わってきます。
個人的に驚いたのは、
被爆で幹の半分を失いながらもいまだに葉を茂らせている木の写真。
何という生命力!
この作品からは特に色々なことを考えさせられました。
一方で、
街を行き交う現代の人々の姿や、
モデルルームに変わったかつての被爆倉庫(実は骨組みはそのまま利用されているそうです!)も写され、
変わりゆく長崎の「今」も感じられました。
そして、そんな「今」と「痕跡」のギャップが、
かえって強く当時の痛みを伝えているように感じました。
★消えゆく痕跡
最も被爆のインパクトを伝える、爆心地近くにあった浦上天主堂の遺構は取り壊されてしまったこと、
他にも保存されずに失われていく遺構が多く存在していること、、、
松村さんが語った消えてゆく痕跡の存在も、
強く印象に残りました。
時間の流れとともに姿を変えていくかつての被爆地・長崎。
そんな中でも残っている痕跡の数々は、
絶対に忘れてはいけない痛みについてしっかり語り続けています。
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痕跡の街・長崎の「今」を伝える写真展。
時代が変化する中でもしっかりと残る痕跡が語るメッセージを
ぜひ皆さまも受け取っていただければと思います。
写真展は2月16日(水)まで開催しております。
(10:00~18:00 ※最終日は15:00まで、日曜休館)
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
(この記事は佐相が担当しました)