先日発生した令和8年熊本地震で被災された方々に対して心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
現在以下の写真展が開催中です。
尾辻 弥寿雄 写真展 「歴史の軌跡 平和を求めて」
期間:2026年7月30日(木)~8月19日(水)
※8/6(木)~8/12(水)は夏季休館

今回の展示は1972年の横浜・村雨橋事件、1982年の反核・ニューヨーク100万人行動の2つの出来事をテーマにした写真が展示されています。
一見すると異なる時代、異なる場所で起きた出来事ですが、写真を追っていくと、その根底には一本の強い糸が通っていることに気づきます。それは、「戦争に加担しない」「平和を守りたい」という切実な願いです。

展示の前半を飾るのは、1972年8月に横浜で起きた村雨橋事件の記録。当時、アメリカによるベトナム戦争は激化し、世界中で反戦運動が広がっていました。日本でも「アメリカの戦争に巻き込まれるな」という声が高まり、その象徴的な出来事の一つがこの事件でした。
米軍の戦車を積んだトレーラーが、相模総合補給廠から横浜港方面へ向かう途中、市民や若者たちによって足止めされます。彼らは村雨橋の重量制限超過を理由に橋の上へ座り込み、戦車輸送に抗議したのです。写真の中には、戦車という巨大な存在と、それに立ち向かう市民たちの姿が写っています。
特別な武器を持つわけでもなく、大きな権力を持つわけでもない。けれど、自らの意思を示そうとする人々の表情には強い決意が宿っています。50年以上前の出来事でありながら、その場の緊張感が今にも伝わってくるようです。

展示後半は、1982年のニューヨークへ舞台を移します。
横浜での出来事から10年。世界は今度、米ソ冷戦の激しい核対立という現状があり、人々は「核戦争が現実になるかもしれない」という不安を抱えていました。
そんな中で開催されたのが、国連第2回軍縮特別総会(SSDⅡ)に合わせて行われた「反核・ニューヨーク100万人行動」。世界中の反戦・反核団体がニューヨークに集まり、日本からも被爆者団体や市民団体が参加しました。群衆の熱気、プラカードを掲げる人々、平和を訴える表情の数々。しかし写真が伝えるのは怒りだけではありません。そこには未来への希望が確かにありました。

写真を見ながら、平和とは突然与えられるものではなく、誰かが声を上げ、行動し、受け継ぎ続けることで保たれてきたものなのだと改めて感じました。
この写真展は、特別な知識がなくても、「戦争はダメ」「平和な世の中にしたい」という誰もが願っていることを改めて感じられる展示です。過去を振り返るためだけではなく、これからの未来を考えるために写真がある。そんなことを実感させてくれました。
現代の混沌とした世界情勢。日本にとっても決して対岸の火事ではありません。歴史を学ぶ展示であり、人々の思いに触れる展示であり、そして平和について静かに考える時間を与えてくれる展示。写真好きの方はもちろん、普段あまり写真展に足を運ばない方にも、ぜひ訪れてほしい展示です。

(↑セントラルパークの会場に集まる群衆の光景)
今回展示で使用された写真のフィルムたちは保存状態があまりよくなく、ゴミや傷の処理ソフトを駆使しながら綺麗に補正したそうです。デジタルデータだと消えてしまったり、データを読み込む機械自体がなくなったりすることもありますが、フィルムで保存していたからこそ、何十年たっても写真をみることができる。アナログならではのリミットがありますね。

明日8/1の14時~ギャラリー奥にてフロアレクチャーを開催予定です。
貴重な撮影時のお話など聞けるチャンスです!
予約不要なので、皆様ぜひお立ちよりください。
皆さまのご来館お待ちしております。




