
写真展案内
工人(こうじん)とは、訓読みで「たくみびと」とも読めます。工芸士を指す言葉に使用しています。当展覧会では、兵庫県内の工芸士と作業風景、工房を展示いたします。
現在、兵庫県のみならず、日本の工芸士は生き残りをかけて戦っています。日本人がいいものを大切に使う習慣が無くなった、又は日本製を使用しなくなった時代の悲しき変遷によるものです。(私自身も例外ではございません。)工房のいくつかではそんな日本に見切りをつけ、海外輸出に重点を置いているところもございます。マスコミ(テレビ・新聞・雑誌等)で見る優雅な姿とは裏腹に、工芸士の現状は厳しいです。
私は何度も播州三木刃物の伝統工芸士を撮影するため工房へ出かけますが、そこでは工芸士の方々から「昔はこの辺一帯が鍛冶屋だったんだけど。」と訊きます。更に「伝統の継承」に関しては大変厳しい状況です。今の時代に薄給(もしくは無給)を気にせず弟子入りされる方は数少ないと思います。「衰退産業」と言ってしまえばそれまでです。しかし私は「記録」するために撮影しません。なぜなら「記録」に重点を置くと「消える」が前提になる為、嫌なのです。
当展覧会を通じて工芸士の方々を身近に感じて頂き、工芸品に関心を高めてもらいたいと願って止みません。
(展示内容:モノクロ写真(A3)約100点 組み写真形式で展示 ■直貼り/ピン止め)