金井 紀光 写真展

「災害列島-あの日のこと-」

2019/07/25 ~ 2019/07/31

vol778
大きな災害が頻繁に起きています。私は2007年の新潟県中越沖地震をはじめ、2011年の東日本大震災、津波、2018年の西日本豪雨災害など、いくつかの被災地を訪ね取材を重ねてきました。災害によって日常の暮らしが一瞬で断ち切られるということがどういうことなのか、この眼で確かめたいという強い気持ちからです。

新潟県中越沖地震では、被害の大きかった柏崎市を地震直後から何度か訪れました。市内を歩いて感じたことは、被害の大きさもさることながら、一人暮らしのお年寄りが想像以上に多かったことです。普段の暮らしも大変な独り身にさらに地震が襲っていました。シャッター通りとなっていた中心地商店街も大打撃を受け、閉じた店はさらに増え「ますます街がさびれてしまう」と商店街の人達は嘆いていました。

昨年は豪雨、台風災害が多く起きました。地球温暖化の気候変動による異常気象ともいわれています。西日本豪雨災害の被災地、広島県呉市では、土石流被害の怖さを目の当たりにしました。あちこちで自動車やカーブミラーがすっぽりと土に埋もれ、二階建て家屋の一階部分が土砂に埋もれている光景には驚きました。直径3~5mのコアストーンと呼ばれる岩石が、住宅街にゴロゴロと転がっていました。それら土砂や岩石がうず高く積まれた集積場の光景は忘れられないものです。

被災地で多くの人が語ったのは「50年この場所に住んでいるが、あんな雨や風は初めての経験だった」「まさか自分が災害に遭うとは思わなかった」などです。いつでも、どこでも、誰の身にも災害はふりかかる。絶対安全ということは、今の日本ではありえないのです。

いくつかの被災地で、見て、聞いて、感じたことは、災害によって浮かび上がる社会の矛盾や歪みでした。高齢化、格差、町の空洞化、コミュニティの崩壊など、今の社会が抱えている問題が、災害の現場にあぶり出されていました。

日本全土を揺るがした、東日本大震災についてはまさにその象徴を見ます。巨大地震のあとの津波、そして原発災害。事故から8年経ち、人々の記憶が薄れつつありますが、今も多くの人が古里に戻れない状況があります。

列島全体に、心の傷がいえない闇が続いています。

(カラー約50点)

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