国境なき子どもたち(KnK)写真展2016

「明日に吹く風 カンボジアの若者たち2003-2016」

2016/10/06 ~ 2016/10/12

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認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)は、世界のストリートチルドレンや人身売買の被害にあった子ども、大規模自然災害や国内騒乱で不安定な状況下にある子どもなど、恵まれない青少年を支援するNGOです。世界の子どもたちと「共に成長する」ことを理念に活動を開始したのが1997年、現在は7の国と地域で活動しています。
日本の人々、特に若い世代に海外の子どもたちの現状を伝えることを目的に、プロの写真家を活動地に派遣し、2004年以降、毎年写真展を開催しています。

<写真展に寄せて>
1992年、僕は写真家になる決意をした。17歳のときだ。カンボジアで命を絶たれた若き戦場写真家・一ノ瀬泰造の著書『地雷を踏んだらサヨウナラ』を読んだことがきっかけだった。それ以来、カンボジアはいつか必ず訪れてみたい憧れの国だった。イギリスの学校でフォトジャーナリズムを学んだ直後にチャンスはやってきた。カンボジアの若者たちを撮影してほしいというKnKからの依頼だった。そうして、初めてカンボジアを訪れたのが2003年だった。
当時は、とにかくカンボジアの貧困状況を強い写真で伝えようという思いで頭がいっぱいだった。プノンペンやバッタンバンの暗い路地裏を歩き回り、路上で暮らす子どもたちや人身売買の被害にあった若者たちを探し出しては、彼らが直面している過酷な現実を撮った。KnKは、そうした若者たちを保護し、自分の力で生きていける力を身につけさせようと、教育支援や職業訓練を行なっていたのであるが、ある日、ちょっとした成り行きで、KnKの若者たちを街の写真スタジオで撮影することになった。そのときに見た子どもたちの表情は、当時の僕が探し求めていたリアルとはかけはなれた、見たことないほど生き生きとしたものだった。そのとき僕は気がついた。子どもたちの心にまったく向き合おうとしていなかったことに。自分の撮影姿勢が根本で間違っていたことを、僕は若者たちからこのときに学んだのだ。
2016年6月、大きな時代のうねりにあるカンボジアを再訪するにあたり、僕はかつての若者たちを訪ねるところから取材を始めた。十数年の歳月をどのように生きてきたのか、大人になった彼ら自身の言葉で聞きたかった。そして今、若者として生きるものたちにとって、カンボジアは夢の持てる国になっているのかどうかが気になった。若者たちの声に耳を傾け、何に悩み、何を大切にし、どんな明日を見つめているのかを聞いてみよう。困難を乗り越え、明日をつくろうとする若者たちの姿を通して、カンボジアに吹く明日の風を届けようと思った。                                  渋谷 敦志 (カラー約40点)

写真家プロフィール

渋谷 敦志 (しぶや あつし)/ 写真家・フォトジャーナリスト 東京都在住 www.shibuyaatsushi.com 1975年大阪府生まれ。大学在学中に一年間ブラジル・サンパウロの法律事務所で働きながら写真を本格的に撮り始める。2002年London College of Printing卒業。現在は東京を拠点に、アフリカやアジア、東北などで紛争や貧困の地で生きる人々の姿を写真と言葉で伝えている。第3回MSFフォトジャーナリスト賞、日本写真家協会展金賞、視点賞・視点展30回記念特別賞など受賞。「ナショナルジオグラフィック日本版」やミュージシャンの後藤正文氏が編集長を務める「THE FUTURE TIMES」などに写真や文章を寄稿。写真集『回帰するブラジル』(瀬戸内人)、著書『希望のダンス』(学研)、共著『ファインダー越しの3.11』(原書房)

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(最終日 : 10:00~15:00)
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