
祈り=今この瞬間の現実に意識を向けること。
ブッダが悟りを開いたとされるヴィパッサナー瞑想の体験中に、「太陽の光に照らされた遺跡を背景に祈る少女」のビジョンを見た著者は、写真家としてこの光景を撮影するため、ブッダの教えを守る上座部仏教の聖地ミャンマーを訪れた。
国民の9割が仏教徒であるミャンマーの人々にとって、仏塔=ブッダは特別な存在であり、出家していない人(在家信者)がブッダと関わることのできる場として、朝から晩まで多くの人で賑わう。少女たちにとっても、家、学校に次ぐ第3の居場所になっている。
そんなミャンマー各地のさまざまな仏教建造物と、偶然その場に居合わせた少女たちの祈る姿をおさめた異色の作品。
撮影後、ミャンマーで国軍によるクーデター勃発。撮影地は炎に包まれ、幼い子供たちまでもが犠牲になり、再び軍事政権が掌握する時代に逆戻りになった。
ミャンマーには美しくて魅力的な世界観がたくさんあるのに、それが血に染まっている現状がとてつもなく悲しい。
この作品が、争いへの問題提起になったり、何かを考えるきっかけになればと切に願います。
出展枚数(カラー44点(予定)
<むそうたかし(武壮隆志)略歴>株式会社むそう写真事務所 代表取締役
公益社団法人日本写真協会 正会員
2006年に写真文集「最重度・重複障害児かなこちゃんの暮らし」(明石書店)
2007年写真新世紀佳作(飯沢耕太郎選)
2024年に写真集「ほとけの乙女 ミャンマーの仏塔・寺院と少女たち」(雷鳥社)