【ご来館の皆さまへのご協力のお願い】
・発熱や咳の症状、体調不良のある方はご来館をご遠慮くださいますようお願いいたします。・手指消毒液を設置しておりますので、ご入館時は手指の消毒をお願いいたします。
・他のお客様との間隔を空けるようお願いいたします。
・大きな声での会話はご遠慮ください。
・混雑時は入館を制限させていただくことがございますのでご了承ください。
写真展案内
ひょうたん島(蓬莱島)のある赤浜の岸辺で、瓦礫から工具を拾い集める船大工に出会った。大槌湾に面した岩手造船所は津波で壊滅し、流された船は陸に打ち上げられたり、海上を漂流したりしていた。船大工は、「あの船さ、おらほの方から流れたべ」と屋根の上に乗った観光船を見上げた。漁師町の復興に、船は欠かせない。「やんねばなんねえ」、船大工たちは声を合わせた。町に暮らしの明かりが灯る日を夢見て、途切れることなく復興の槌音を響かせ続けた。被災地でもっとも早く事業再開した岩手造船所には、三陸各地から被災した船が次々に運び込まれた。漁船の修復を終えると、漁師たちは再び三陸の海へ漕ぎ出す。名産の鮭が魚市場に水揚げされると、周辺には冷凍施設や水産加工所が建ち、大漁と安全を願う伝統の祭りも復活した。
今、蓬莱島の灯台は海を照らし、夜空の下に街明かりが輝く。家族や仲間を失い、悲しみや苦しみを乗り越えても、さらに困難は続いた。しかし船大工をはじめ、町の誰もが、誰かの明日を想い、支えあい、新しい町を築き上げた。写真展『造船記』は、東日本大震災から復興までの不屈の歩みをたどる船大工たちのクロニクル。
(展示予定枚数 50点)
野田雅也(のだ‧まさや Masaya Noda)
1974年福岡県生まれ、写真家‧映画監督。バックパッカーとして 世界を放浪し、写真を始める。ライフワークとしてチベットを撮影、 世界情勢や地球環境を取材して国内外で記事や映像作品を発表する。日本写真家協会(JPS)会員、日本ビジュアル‧ジャーナリスト協会(JVJA)会員、Media Labo ノダグラ代表。映画に『遺 言 原発さえなければ』(2014年)、『サマショール 遺言第六章』 (2018年)、『ふるさと津島』(2020年)。共著に、『災害列島‧日本』(扶桑社)、『3‧11メルトダウン』(凱風社)、写真集『造船記』(集広舎)を2023年2月に刊行。