
町のゲストハウスを拠点に、バイクで村を訪れるようになって、14年になります。
子どもたちとの出会いは、自分自身を見つめなおす大きなきっかけになりました。写真を撮る者として、どのように接し、どう伝えたら良いのか行くたびに考えさせられました。
町の発展は目を見張るものがありますが、村の道路は依然として土埃が舞い上がり、カメラはいつもビニール袋にいれて持ち歩くほどです。内戦後、1993年から船造りを始めた村、ヤシ砂糖を作る村、米の麺を作る村、点在する小さな市場など、半径約30キロの地域で、雨季と乾季の気候を全身で受け止め、自然と共存して暮らす子どもたちがいました。私も一緒になって木に登って遊び、村を案内してもらいました。しかし、通い続けていた村で、知り合いになった姉妹が人身売買の犠牲になり、私の写真集の表紙になった少年は、15歳で親から離れて遠くへはたらきに行きました。ある日、音楽が聞こえ、伝統舞踊のアプサラダンスの練習場に出会えた時は、何とも言えないうれしさがこみあげてきました。
内戦後、村の復興は遅れて経済的に決して豊かとはいえない中で、弾けるような子どもたちの世界を知ってほしいと思いました。日焼けした笑顔に心を奪われる時、こんな平和な姿がいつまでも続くことを願っています。
カラー60点
プロフィール
1994年 写真サークルに参加。 1998年~現代写真研究所入学 26期終了 2000年~2014年 カンボジアを取材。 写真展 2003年より 「安曇野燦燦」「安曇野春秋」カラー 2007年 「カンボジアの子ども」モノクロ 2009年 「カンボジア小さな命たち」-アンコール小児病院待合室―モノクロ 2012年 「カンボジア子どもたち 女たち」モノクロ 写真集 2003年 「畦 燦燦」2006年「安曇野歩歩記」 2009年 「カンボジア はたらく子どもたち」 2012年 「カンボジア 子どもたちの肖像」 所属団体 公益社団法人 日本写真協会