
次から次に舞い込んでくる仕事に追われる日々、その止まらない日常の世界から逃れるように、私は都市の隙間や境界を当てもなく歩き回り、誰の目にも止まらないような、曖昧なイメージを、拾い集めるように撮り続けてきました。いろいろな都市の周辺を歩き、その気配を察してレンズを覗き込めば、イメージは静かに音もなく何かを語りかけてきます。そして私はシャッターを切り、また何かを探して歩き始めます。
それぞれの写真に写し込まれたイメージは、何の脈絡もなく、不連続なものに見えるでしょう。しかし、それは元々ひと続きのものなのです。低軌道の宇宙船の窓から見る地球の表面のように。私は宇宙船みたいに自分の内にある寡黙な惑星の表面をぐるぐると歩き続けているのでしょう。歩きながら、外の(現実の)光景を見たとき、そこには惑星の影が落ちています。そして、私は影を撮るのです。
本展では、これまでに撮り集めた写真群の中からカラー作品約45枚を抽出して展示します。写真の中に惑星を見ていただけたら幸いです。
諫山道雄
作者: 諫山道雄 1970年生まれ、群馬県高崎市在住 所属: 日本写真協会(会員) 全日本写真連盟高崎支部(会員) 高崎フォトカルチャー(事務局)