春の入魂式、秋祭りの時と、写真を撮るため熊取町を訪ねた。
初冬、はじめて祭りの行われていない時期に滞在した。
11台のだんじりが集結し、賑やかだった大森神社は普段の静寂さに包まれていた。
誰もいない神社の境内に参り、だんじりの走ったルートをうろ覚えにたどった。
突然遠くから「そーりゃ、そ―りゃ」とかけ声が聞こえた。
空耳かな? 通り過ぎようとすると、声がだんだん近づいてくる。
田んぼのあぜ道にランドセルを背負った子どもが3人、交互に「そーりゃ」と叫んで、躍るように夕陽のほうへ走り去っていった。
「物心ついた頃からだんじりのある生活が当たり前で、この歳まできた。だんじりは生き甲斐みたいなもんや」と目を輝かせて話してくれた子垣内区世話人の方の言葉を思い出す…。