写真展案内
~カオス(混沌)の息づかいに惹かれて~私は、整然とした綺麗で瀟洒な街よりも、どこか雑然としていて、不均一で猥雑で、活気と喧騒をあわせ持つ、カオス的な街が好きである。私にとって、このような街のほうが何となく人間味が感じられ、自ずからそちらのほうへ足が向いてしまうのである。
タイ王国の首都、バンコクもその一つである。バンコクは、かつて隣国のカンボジアを撮影していたころ、そこへの行き来の際、経由地として立ち寄っていた街である。そのころから、この街が持つ“カオス的な気配と匂い”が気になり始めていた。
そして、カンボジアの写真の取りまとめが終了したのを機に、コロナ禍になる前、撮影のために何度もこの地を訪れ、この街の市街地及びその近郊を徘徊しシャッターを切った。
カメラを向けた先は、先にも示しているように、私の中で潜在的に気になってしまう、或いは惹かれてしまう、“カオスの気配”に対してのものが主である。
この写真展を通して、~カオス(混沌)の息づかい~が感じられたら幸いである。
(出展枚数 カラー45枚)
【武田孝巳(たけだ たかみ) 略歴】
1953年 山形県生まれ
1972~97年 東京都内、設計会社に勤務
1993~98年 現代写真研究所にて写真を学ぶ
〔主な個展〕
1999年 「新宿・カオスの断章」…土門拳記念館、新宿ニコンサロン
2002年 「クメール・ピープル」…銀座ニコンサロン
2008年 「ヌック・クメール」…コニカミノルタプラザ
2010年 「クメール」…アップフィールドギャラリー
〔写真集〕
2009年 「クメール – 愛しきカンボジア -」(窓社)
2023年 「バンコク」(蒼穹舎)
〔受賞〕
1999年 第5回酒田市土門拳文化賞