
石に不思議を感じたのは公園のベンチで何気なく一息つけている時でした。ベンチに腰掛けて目の前に見える石を並べた壁を眺めていると、その中の一つが全く「人の顔」にソックリなのです。その様子は、今でもハッキリと思い出せるのですが、顔全体を公園の北側に向けて口を尖らせている姿でした。
私は思ったのです
「なぜ、人の顔に似ている?」
「人が似ていると思っているだけ?」
「それが人の顔だと思うように私達はインプットされているのか?」
石にとっては
「単にこうなっただけだ」
「お前が勝手に人の顔に似ていると思うだけで俺は俺」
「時を経れば風雪でまた違う姿になる」
なのかもしれません。
その時によぎったのが「石は妖精かも」という言葉でした。善良・悪者・巨人・小人など見た目も性格も多様な「妖精」。それを表現したくて、私は都内の公園や路傍をカメラを持って「私が人に似ている」と思える石を捜しては写真を撮りだしました。
それは自分なりには順調で楽しい日々でした。捜してカメラに収めて帰宅し仕上げをする度に、「こいつすまし顔だ」・「こいつ泣笑っている」・「こいつビックリしている」・「こいつ泣いてる」・「こいつ苦しそう」・・・等々・・・その表情豊かな「妖精の顔」が表現されるモニターを見ては驚かされたものでした。そして、これら「妖精」が公園や路傍に佇んでいるのだから世界は不思議だとも感じたものでした。
しかし、風雪やその場に改変がなされると、徐々に、または、一瞬に、この妖精は「人に似た顔」を消していく。こうして出会えたことそのものが、お互いに奇跡なのかもしれません。
(出展枚数 モノクロ40点)
私は思ったのです
「なぜ、人の顔に似ている?」
「人が似ていると思っているだけ?」
「それが人の顔だと思うように私達はインプットされているのか?」
石にとっては
「単にこうなっただけだ」
「お前が勝手に人の顔に似ていると思うだけで俺は俺」
「時を経れば風雪でまた違う姿になる」
なのかもしれません。
その時によぎったのが「石は妖精かも」という言葉でした。善良・悪者・巨人・小人など見た目も性格も多様な「妖精」。それを表現したくて、私は都内の公園や路傍をカメラを持って「私が人に似ている」と思える石を捜しては写真を撮りだしました。
それは自分なりには順調で楽しい日々でした。捜してカメラに収めて帰宅し仕上げをする度に、「こいつすまし顔だ」・「こいつ泣笑っている」・「こいつビックリしている」・「こいつ泣いてる」・「こいつ苦しそう」・・・等々・・・その表情豊かな「妖精の顔」が表現されるモニターを見ては驚かされたものでした。そして、これら「妖精」が公園や路傍に佇んでいるのだから世界は不思議だとも感じたものでした。
しかし、風雪やその場に改変がなされると、徐々に、または、一瞬に、この妖精は「人に似た顔」を消していく。こうして出会えたことそのものが、お互いに奇跡なのかもしれません。
(出展枚数 モノクロ40点)
太田 全治 略歴
2014年 個展「娑婆」 (Place M)
2015年 個展「橋の下の東京」 (オリンパスギャラリー東京)
2015年 個展「三千大千世界」 (Place M)
2016年 個展「fairly tale」 (リコーイメージングスクエアー新宿)
2016年 個展「木石」 (Place M)