爽やかな陽気が続いていますね
そして少しずつ乾燥に気になってもきました。インフルエンザも流行っているので皆さまマスクや手洗いうがいをして感染症対策しましょうね。
シリウスのギャラリー入口にも消毒液置いています
さて、賑やかだった早慶戦から打って変わって今日からは静かな空間となっています。
吉成 敏男写真展「倒木の表情~やがて土に還るまで~」
期間:2026年10月15日(木)~10月21日(水)

写真展会場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは一見すると抽象作品のようにも見える木々の表情でした。長い年月を生き抜き、そして倒れた後もなお自然の中で生き続けている木々の姿です。
展示者の吉成さんが西ノ湖を初めて訪れたのは二十数年前。観光地化されていない静かな湖畔で、まるでオブジェのように横たわる倒木に強く心を惹かれたそうです。そして2011年に再訪した際も、その姿は大きく変わることなくそこに在り続けていました。2018年にもシリウスで同様に木の表情を切り撮った作品を展示されており、継続して木々の姿を捉えていらっしゃいます。

同じように見える木々もよく観察すると一つひとつが異なる表情を持っています。木肌に刻まれた細かなひび割れ、複雑にうねる木目、苔や地衣類に彩られた表面。長い年月をかけて風雨や雪、動植物たちと関わりながら変化してきた痕跡がそこには残されていました。
今回の作品の多くはフォーカスシフト撮影によって制作されており、その精細な描写には思わず見入ってしまいます。肉眼では気づかないほど細かな木肌の凹凸まで克明に表現され、まるで木々の記憶を覗き込むような感覚になります。倒木の一部分を切り取った作品の中には、風景写真というよりも彫刻作品や絵画を見ているようなものもあります。

また会場には木々のクローズアップだけでなく、西ノ湖周辺の風景写真も展示されています。穏やかな湖面や人の気配の少ない森の景色は、倒木たちが生まれ育ち、今も静かに横たわる環境を伝えてくれます。作品を見た後に風景写真を見ると、木々が単なる「枯れ木」ではなく、その土地の時間そのものを宿した存在であることがより深く感じられました。
いつからそこに在ったのか。どんな嵐を耐え、どんな生き物たちと出会ってきたのか。もちろんその答えを知ることはできません。しかし作品からは、それぞれの木が持つ個性と生命の履歴が確かに伝わってきます。

やがて倒木は土へ還り、森の一部となるのでしょう。しかし木々は倒れた後も昆虫の住処となり、苔や菌類を育み、やがて土へ還っていく存在です。そこには自然界の循環そのものが映し出されています。誰にも知られず、誰にも管理されることなく、静かに分解されていく木々。その姿には儚さと同時に、圧倒的な生命力が感じられました。
その途中にある今だからこそ見られる表情を記録した本展は、自然が刻み続ける時間の流れを静かに感じさせてくれる展示です。人の手があまり入らない奥日光西ノ湖だからこそ残された、個性豊かな木々の物語にぜひ耳を澄ませてみてほしいと思います。
皆さまのご来館お待ちしております。




