アイデムフォトギャラリー「シリウス」では、平元盛親写真展「蟷螂の棲む天地」を開催しています。
平元さんは、元々は風景や人の写真を撮影していたのですが、
あるときそれらを撮影することよりも雑草や虫に目を惹かれるようになったそうです。
それも、咲き誇った花や、華やかな蝶などのように見るからに美しいものではなく、
植物が枯れ、朽ちていく姿や、生き物の死ぬ間際の姿に魅力を感じるようになったとのこと。
命の灯が消える瞬間に感じられる美しさを
「滅びの美学」・「朽ちていく美しさ」と表現されていました。

出展者の平元盛親さん
私たち人間は、他の植物の養分となる枯れ葉や、作物を食い荒らす害虫を捕食するカマキリなどにも知らず知らずのうちに助けられ、生きています。
そうした、私たちの生きる糧となった命の死の間際や、その後の姿も記録したいのだそうです。
「自然やそこに生きる昆虫などの生き物を見て、環境について見つめなおしてほしい」
という想いで出展された今回の作品展。
平元さん曰く、カマキリは“あくまで環境という大きなテーマの中での1ページ”だそうですが、
「カマキリが孵化する直前に卵の下に巣を張るクモがいて、一瞬にして命を終えるカマキリもいる。
そんな光景を目にしたあとに、無事成長したカマキリがクモを捕食しているところを目撃すると、
仲間の仇をとったな、と感じる。」
「猫と戦っているカマキリは、一度は猫の口の中に入れられても、そこから這い出して反撃した。
結局猫に命を奪われてしまったが、カマキリの亡骸の鎌には千切れた猫の毛が絡まっていた。
カマキリは一方的にやられたのではなく、勇ましく戦い、一矢報いた。」


という平元さんの言葉からは、カマキリへの特別な想いが伝わってきました。
本作品展は、いわゆる美しさや荘厳さをコンセプトとした自然を写し出した展示とは一線を画す、
自然の儚さや命の尊さなど、どこか哀愁を帯びた作品展となっております。
ご覧いただくことで、それまで当たり前に見過ごしてしまっていた景色やものの見え方が、
少し変わるかもしれません。
みなさんのご来場、お待ちしています。
出展枚数:55枚
◆開催期間:2016年2月4日(木)~2月10日(水)
◆開館時間:10~18時(最終日は15時まで)
◆休館:日曜
入場無料