いよいよ年末!皆さん大掃除など進んでいますか?
シリウススタッフは今年も自宅の大掃除を諦めてしまいそうです・・・・
現在シリウスでは年内最後の展示、恒例となった笹本恒子賞の展示が開催中です。
第7回「笹本恒子写真賞」受賞記念展 遠藤 励 写真展 「MIAGGOORTOQ(ミアゴート)」
期間:2024年12月19日(木)~12月25日(水)

受賞者の遠藤励(えんどうつどむ)さんは1978年長野県生まれ。
1997年頃にスノーボードの黎明期を目撃し、スノーボードの撮影を開始。写真は独学で始めたそうです。以降ボードカルチャーを中心に作品を制作。 2017年頃に北極圏の民族を撮影を開始。熱心な撮影活動に対して今回日本写真家協会(JPS)の笹本恒子賞を受賞することとなりました。
受賞コメントと選評は日本写真家協会のHPをご覧ください。
第7回「笹本恒子写真賞」 受賞者 遠藤 励 氏に決定 – 公益社団法人 日本写真家協会

額に入った作品や大きなパネルの作品が並ぶ中今回の展示で遠藤さんがこだわったのは「動きのある展示」。
写真展を見るときにどうしても立って真っすぐ見た時の目線のまま作品を見ることが多いので、今回は少し目線を変えて見て欲しいという気持ちがあったそうです。床置きの作品や、タブレットでの展示、会場奥には動画の上映も。様々な展示方法を試みており視覚的にも興味深い展示となっています。

撮影に行くときはコーディネーターなど付けずに一人で現地に行き撮影をするそう。話す言語は「西グリーンランドイヌイット語」。シリウススタッフは初めて聞く言語でしたが、遠藤さんは言葉を少しずつ習得し現地の人と知り合い写真を撮らせてもらっているのだとか。
「僕自身は50単語くらいしか話せませんが、向こうの人たちの生活はシンプルなので『寒い』『おなかすいた』など簡単な自分の要求を伝えるのは問題なくコミュニケーションが取れます。」
現地の言葉を使い、丹念に時間をかけてコミュニケーションを取ってきたからこそ近い距離間で撮影できたものなのですね。

ビニールで制作された写真はゴミで汚染された土地を写したもので、作品をあえてぐちゃぐちゃにしたり、周りを焼いて焦がしてみたり。環境が破壊されていく様子を写っているものだけでなく作品そのものから表現されています。

狩猟民族でもある先住民族の狩猟犬を使った狩りの様子は雪の中で静かに、しかし荒々しく、ストレートに力強く写し取られています。「生きるということは血が流れることなんだということを伝えられたらなと思っています」という遠藤さんの言葉は自分たちが今食べている食事も生き物の血が流れているということを改めて実感するものでした。
一方青い氷と雪の世界の中で生々しく流れる血の様子はどこか神々しさも感じられます。技術の進化の中で同じ生活様式を続ける民族がいるということは、文化を残すという意味でも重要なこと。またシンプルなその生き方はある意味高尚な行為なのかもしれません。

実際に狩りに使われる道具なども展示されています。また会場奥の動画作品でも狩猟の様子を見ることができますので椅子に座ってじっくりご覧ください。

皆様のご来館お待ちしております。
そして今年の展示はこの展示で終了です。
また年明けにお会いしましょう。