現在シリウスでは以下の展示を開催中です。
杉本速利 写真展「浅草群像-コロナ禍を超えて-」
期間:2024年11月14日(木)~11月20日(水)

今回展示している作品の舞台は浅草。浅草寺と仲見世通り界隈で出会った人々の姿を撮影した作品を展示しています。
観光に来た外国人だけでなく、神輿を担ぐご老体、お祭りに参加した地元の人々や浅草に来た記念で着物を着る男の子たち、飲み屋で一杯ひっかけるほろ酔いの人。中には散歩する豚まで。

2020年の正月に二十数年ぶりに沢山の人々で賑わう浅草に行ったことがきっかけで撮影を始めたそう。当時はまだ観光客がたくさんいた頃ですが、直後に緊急事態宣言が発令。自宅で過ごす時間が増えた時期と撮影を始めた時期が重なってしまいました。当時の浅草に赴いてみるとこれまでの人でごった返していた浅草の姿はなく、人気もまばらな閑散とした景色が広がっていたんだとか。そして少しずつ人が外に出かけ始めたころ、浅草に人々が戻ってきてさらに浅草という場所の魅力を感じたのだとか。

「浅草って、なんだかごちゃ混ぜですね」というと、「昔からね、浅草っていうところはお上りさんが来てたところなんですよ。」と昨日搬入に手伝いに来てくださった現代写真研究所の尾辻さんが仰っていました。
日本全国各地だけでなく、世界各地からも人々が訪れる浅草。日本を代表する観光地だからこそ様々な人たちがそれぞれの目的で浮足立って浅草を楽しむ様子はまさに色々なお上りさんたちの文化がごちゃ混ぜになっていると言えますね。

杉本さんは被写体となっている人、一人ひとりに声をかけて話を聞きながら撮影したんだとか。人に声をかけるのも勇気が必要ですが、知らない人に写真を撮られることにも抵抗がある今の時代。協力してくれる人のありがたさに気づかされます。

展示会場全体を見回すと写真の中で所々赤が入っているところがあり、差し色的に全体の雰囲気を統一してくれています。
赤い色(朱色)は古くから魔除けの色と考えられていて、日本では神社仏閣の装飾に用いられてきました。稲荷神社では朱色は稲作に必要な太陽の光を表しているという説もあるそうですよ。
日本の伝統的な部分と、異文化が混ざり合った部分。それを楽しむのが浅草かもしれませんね。

今回閲覧用に冊子も置いてあります。ぜひお手にとってご覧ください。
皆様のご来館お待ちしております。