
写真展案内
発端は、散歩道に置かれた植木鉢に、沈みかかる日の光が当たっていて、刻々と動いているのを見たことです。小さな惑星に住み、椅子をずらしながら日に何度も夕日を見るという、サン=テグジュペリの物語のシーンが思い出され、植木鉢に惑星の回転を見て、心を揺さぶられました。道端の、砂漠の、波打ちの、ヒトの世界のみぎわで、生命の現象する不思議な惑星を、私的に捉えようと試みました。 大きな世界を小さな自分の命の範囲で捉えようと思う時、別の時間がつながり、もう存在していないものや、自分でない他者の視界や、架空の物語のイメージが、夜空で星座を見るように、同時に見られるのではないでしょうか。 また逆に、心の内が風景に投影されている、という、錯覚を覚えることも起こります。
サン=テグジュペリの物語へのオマージュとともに、生命現象の神秘性、自分の内にある、起源のわからない、何か遠いものへの憧れととてつもない寂しさ、思いと光の近しさそれら私的な「惑星」の意味づけを帯びた、連続と不連続の写真群を展示します。
私の視界は閉じられているようで、自分のものではないのかもしれません。
(出展枚数 68枚)
略歴
日本女子大学生物学専攻
現代写真研究所土曜研究科・金瀬ゼミ
鈴木理策 写真ワークショップ「撮ること 選ぶこと」
[Exhibition]
2015「海のプラトー」『視点』/ 東京都美術館
2016「PLANTAE」鈴木理策 写真ワークショップ「撮ること選ぶこと」展 / IMA GALLERY 六本木
2017「楽園の観察 Paradise Observation」個展 / TAP Gallery 清澄白河
2019「シーサイド・プール」『神奈川県美術展』 / 神奈川県民ホールギャラリー