
古来、オシドリは美しさと、雌と寄り添って泳いでいる愛らしい姿から「おしどり夫婦」とか「鴛鴦の契り」といわれ、夫婦円満や平和のシンボルとして絵画や襖絵、工芸品等の文様になり愛でられてきました。
しかし撮影するには条件が悪く、遠い、早い、暗い、の三悪がそろっていてフィルム時代にはその美しさを表現するのは容易ではなかったと思います。
これこそデジタルカメラの高機能を生かす被写体ではないかと確信しました。
秋になるとオシドリが飛来する、都会の小さな池に通い続けて十数年、その間2010年「シリウス」にて「おしどり百景Vol.1」、2012年「おしどり百景Vol.2」として個展を開催させていただきました。
そして今回の「おしどり百景Vol.3」は、長い間同じ被写体を撮り続けていると見えてくる、自然の織り成す風景の中で、必死で生きている、おしどり達の姿に見る究極の「美」です。
1羽の雌をめぐり雄たちの壮絶な競争、勝ち残った2羽が雌の見ている前で最後の決闘をします。こうして「おしどり夫婦」が成立します。
また、天敵オオタカの襲来に備える群れでの回避行動、は見事です。
環境の変化なのか年々おしどりが少なくなってきています。
心配ですがこれからも撮影を続けていきたいと思っています。
フォトグラファー 仙葉 烈
仙葉 烈(せんば れつ)プロフィール
1948年生。秋田県出身。東和スタジオを経て1978年にフリーランスとして独立。阪急交通社・ケンウッド等のクライアントを得て国内外の旅行写真を中心に企業広告/PR/雑誌等の撮影を手がける。1984年より約20年間「斑尾ジャズフェスティバル」のステージ写真を担当。2004年頃、写真のデジタル化に伴い、素材の対象におしどりを撮り始める。鳥類は撮影難度が高く、アナログでは追求しきれない表現をクリアにすることにより新たな可能性に挑む。