
現代の日本伝統産業において「つなぐ」とはどういうことなのだろうか。
一昨年、鳥取県因幡地方で無農薬の酒米を作り続けた方が亡くなり、そしてその酒
米で大切に日本酒を造り続けた杜氏が引退された。日本酒造りに携わる男達は、一年の天候を肌で感じ、真冬の寒気の中と室温30度の糀室を行き来しながら、黙々と一歩一歩、一喜一憂しながら日々を重ねていく…。約10年間、そんな日本酒造りの世界で生きる姿を撮影してきた。
この世界には、継ぐ者とともに受け継がれる物、去る者とともに消えゆく物がある。一粒の種から人の微笑みに変わるまで、淡々と大切に繰り返される彼らの生き方と道具が「つなぐ」ことの意味を語りかける。 (出展枚数 モノクロ50点)
井上耕之介 プロフィール
1964年 鳥取市青谷町生まれ。鳥取市青谷町在住。 日本写真映像専門学校卒業。 岐阜県飛騨高山の細江光洋氏に7年間師事。帰郷後、井上写真館4代目を継ぎ、ライフワークとして鳥取砂丘などの撮影を始める。 2009年 鳥取市『こぶし館』で初個展『砂丘の詩』。 2012年 鳥取市『仁風閣』にて個展『砂丘~セピアの詩』。 2013年 鳥取市『サルーテ』にて個展『大切な場所』。 2013年 東京新宿『エプサイト』にて個展『砂丘~セピアの詩』。