石垣 匠 写真展 「下野の蔵 2」

Vol.482  3月14日(木)~3月20日(水)

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私が住んでいる栃木県(旧国名、下野)には、昔ながらの瓦と土で葺かれた重厚な屋根を太い柱や土壁で支える、いわゆる“蔵“で操業続ける醸造元が比較的多く点在する。しかし最近では、老朽化のため維持が困難になることや温度管理や作業効率向上のため、工場のような醸造所へ建て替えを余儀なくされる所が多く、今後、見続けられるのは時間の問題かもしれない。
 蔵は、かるく100年経つ建物なので差し込む光は100年前と同じで、まるでタイムスリップしたかのような感覚にさせる。また光は、釜、柱、壁、酒造りの道具たちを照らし、蒸米作業で使われる蒸気と織りなすことで、あたかも生き物が呼吸するような姿になり、闇の中、モノクロームな光景を浮かびあがらせる。
 10年前、大病を患い、治療を続けながら、何か自分の光景を撮りたいという思いがつよく募り、探し続け、見つけたのが、これらの蔵だった。初めて入らせてもらった時、ハイライトからディープシャドウに繋がるトーンに魅せられたからで、いつしか毎年、蔵に向かうようになっていた。
 1シーズンひとつの蔵と絞り、繰り返し訪れ、一般的な酒造りの所作にとらわれない、自分の光景を探すのだが、何となく、生命感に溢れる胎内とも言うべき居心地の良い蔵内から、輝くハイライトを探している様に思えてならない。これらの写真は2006年から2012年までの7年間、栃木県内で操業する7箇所の蔵を撮り貯めたものである。
◆訪れた酒蔵
西堀酒造、飯沼銘醸、島崎泉治商店、天鷹酒造、宇都宮酒造、辻善兵衛商店、若駒酒造
(モノクロ60点)

 

石垣匠の略歴

東京都生まれ。大学卒業後、某自動車メーカー研究所入社のため、栃木県へ転居。
現在、自動車用エンジンの研究開発、下野市在住。
2002年ころより、モノクロ銀塩写真ワークフローをはじめる。
2006年、渡部さとる氏ワークショップ2Bに参加。
栃木県の古い酒蔵をテーマに撮り始める。
2007年、グループ展「太陽と17歳」、渋谷ギャラリールデコ。
2009年、個展「下野の蔵」、渋谷ギャラリールデコ。

  

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